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飯塚事件2 その7

4、まとめ、考察、感想

事件当初、久間さんが疑われたのは仕方がないかもしれない。ひどい事件だからこそ警察も犯人を逮捕したいとの思いは分かる。しかし、久間さんの逮捕までに見込み捜査があったように思われる。久間さんを犯人とする客観的事実がいかにも弱過ぎる。前の飯塚事件について記事の際にも感じたが、改めて以下のように感じた。

 

1)いずれの証拠も死刑判決を出せるレベルではない

2)DNA型鑑定の信憑性に疑問が持たれ始めた中で、2年で死刑執行したのは到底理解できない

 

このような冤罪の可能性がある事件についてなぜ執行したのか。これは何度考えても理解できないし、到底納得できない。

 

警察、検察の言い分を最大限にでも、最大死刑判決が出たとしても、やはり死刑執行されるべきではなかった。死刑執行により、真実はもとより久間さんの命が絶たれるという取り返しがつかない事態を招いたのであるから。

 

万一、真犯人が出頭してきたら、警察、検察はきちんと捜査し、逮捕し、全てを明らかにできるのだろうか。

 

最後に岩田弁護士のコメントを紹介して終わりにしたい。

 

岩田弁護士

「この事件全体の構造というか、もう最初から久間さんを犯人として、証拠も次々に作ったという、まさにその構造ができている事件だと思っている」

「だからもう裁判所の結論は決まっていて、要するに死刑になった事件がひっくり返ったら大変だと言う発想があるじゃないかと思うんですよ。真実究明よりも何があったかよりも今の体制というか、今の裁判所の秩序、裁判の秩序を守ることが先になっていると僕は思う。」

 

飯塚事件については今回2回目として紹介したが、この岩田弁護士のコメントが重く心に響いた。

 

この事件は皆さんも是非関心をもって自分でも色々調べて頂きたい。

 

 

 

●参考文献・データ

①NHK BS1スペシャル 『正義の行方~飯塚事件 30年後の迷宮~
②創 2021年11月号P82 死刑施行された冤罪「飯塚事件」第2次再審請求 徳田靖之/岩田務
③法と心理2014年14巻 特集 法科学の可能性と危険性 飯塚事件の再審請求 岩田務
④飯塚事件T証言再現映像