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布川事件5

※検察による証拠隠し問題

最後に、布川事件の最大の問題とも言えるのは、検察による証拠隠しである。今まで紹介した桜井さんの自白がデタラメだと分かる死体検案書、そして桜井さん、杉山さん以外の第三者、真犯人が事件現場にいた可能性を示す毛髪の鑑定書、最後に紹介した女性の証言等が、事件発生の1967年から2003年までの36年もの間、検察によってずっと隠されてきたのだ。

 

こんなことが許されて良いのか。理不尽過ぎて到底納得できるものではない。国民の無智に乗じてこのような犯罪まがいのことが今でもまかり通っているのである。まるで検察は、時代劇によく出てくる善人を悪人にしたてる悪代官のようにも思えてくる。我々日本国民は、こうした実態をもっともっと知る必要があると思う。いつ自分や自分の家族が、桜井さんや杉山さんのような冤罪に巻き込まれる可能性もあるわけだから。

 

このように何十年もの間、無実の人の人生を大きく変え、多大な人権を侵害する冤罪事件を今後生み出さないために、一刻も早く証拠開示を法律で義務化(罰則付き)すべきだと思う。

最後に、元裁判官の木谷明氏のコメントを紹介する。

 

木谷明氏

「捜査官が集めた証拠というのは税金を使って、国の機関が集めて来たものですから、それに押収の強制力をもっています。捜索の権限も持っている。弁護側には何もないと。そういう被告人に有利な証拠を全部押さえてしまって、そしてそれを隠してしまうと、これは全然話になりませんね」

(「映像’09 逃げる司法」 2009/9/20 毎日放送より)