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布川事件3

③物証なし(指紋、髪の毛もなし)

2003年11月、検察は、事件発生当時の鑑定書を開示した。これによると警察は、事件現場で8本の毛髪を見つけて押収しており、その8本の毛髪を、杉山さん及び桜井さんの毛髪と比較もしていた。その鑑定書が、驚くことに事件から36年後になってようやく証拠開示したのだ。しかも驚くべきことに、その鑑定書による鑑定の結果、現場にあった毛髪は、桜井さん及び杉山さんの2人のものとは一致しなかったのだ。毛の太さなどが全く違ったと。この事実は非常に重要である。

 

そして、さらに実は鑑定はこの一通だけではなかった。捜査の常道として、慰留された毛髪と被疑者の毛髪は、比べるだけでなく、通常、被害者とも比較する。しかし検察官は、当初、そのような鑑定書は存在しないと主張していたが、後に検察は、2通目の鑑定書も開示した。

(2003年11月に公開された鑑定書「映像’09 逃げる司法」 2009/9/20 毎日放送より)
(2003年11月に公開された鑑定書「映像’09 逃げる司法」 2009/9/20 毎日放送より)

そして、予想どおり、警察は、8本の毛髪を被害者の毛髪と比べていた。その結果、3本は被害者のものであったが、5本は違うという内容であった。つまり、別の人物が、そこにいたことになるのだ。逮捕された二人のものでもなく、被害者のものでもないとすれば、それは、真犯人の髪の毛の可能性があるからだ。少なくとも桜井さん、杉山さんが犯人だとする物証はないことになる。そのような重大な証拠を、検察は、36年間も隠し続けてきたのだ。とんでもない話であるとしか言いようがない。仮に、最初の裁判でこの鑑定書が出ていたら、有罪の上、無期懲役との判決は出ていなかったのではないか。

 

なぜ36年もの間、検察は、この証拠を隠し続けてきたのか。日本で最も難しいとされる司法試験を通過した法律の専門家がやることとは到底思えない。どう考えても理解できない・・・。