袴田事件3 その4
③急に5点の衣類が出てくる
②で紹介したとおり、自白ではパジャマで犯行に至ったと言うことだった。しかし、事件発生から1年2ヶ月後の裁判の途中で既に捜索していたはずの現場近くの味噌タンクからパジャマとは別の血に染まったシャツとズボンが見つかる。
すると検察はすぐに証拠を当初のパジャマから血染まったシャツとズボンに変更した。自白の内容とは全く違うにも関わらずである。裁判の途中で切り替えられた疑惑の証拠、通称「5点の衣類」である。これは言うまでもなくとんでもない変更だ。袴田さんを犯人に仕立て上げるための何でもありのやり方だろう。
ズボンは小さくて太ももまでしかはけなかったが、裁判で覆ることはなかった。1980年、袴田さんの死刑が確定。その後裁判のやり直し、再審を何度も求め続けた。しかし再審が行われることはなかったのである。
そしてついに逮捕から48年が経った2014年に静岡地裁は、「再審開始」、つまり裁判のやり直しを決めた。
しかし、検察は決定を不服として即時抗告した。
検察の即時抗告も納得いかないが、さらになんと2018年に東京高裁は再審開始決定を取り消したのだ。これもとんでもない、到底理解できない判断である。
これに対して弁護団が特別抗告し、最高裁は犯行時に着ていたとされる衣類についての審議が尽くされていないと東京高裁に差し戻した。
とにかく裁判には時間がかかるとしか言いようがない・・・。