袴田事件3 その2
①取り調べでの過酷な状態
1966年(昭和41年)6月30日に静岡県清水市の民家で味噌製造会社の専務一家4人が殺害されて集金袋が奪われ、この民家が放火された強盗殺人・放火事件が起きた。柔道二段の味噌会社の専務が殺害されたということで、元プロボクサーの経歴を持つ従業員だった袴田さんに疑いがかけられた。
そして袴田さんが逮捕されたのは、事件発生から1ヶ月半後の8月18日である。8月の真夏の空調のない密室で連日長時間にわたる取り調べが続いた。1日の平均12時間、最も長い日で16時間20分にも及んだ。聞いただけでぞっとする。
さらに取り調べの際に、袴田さんがトイレに行きたいと言っているところ、トイレに行かせず、取り調べ室内に便器を持ってきて、袴田さんに用を足させる様子が録音されていた。とんでもない取り調べだったことがうかがえる。