ロゴ


飯塚事件 その4

3、その他の状況証拠の問題

 

この事件で有力証拠とされたもう一点は、久間さんの車の後部座席シートから検出された血痕と尿痕である。これらが被害者女児の二人の鼻血と失禁によるものだとされたのである。

 

しかし、これらは結局確定判決での有罪理由ではDNAは不明とされ、血液型がO型と判明したのみであった。被害者の女児一人は、O型ではあったが、久間さんの妻もO型であったし、親戚や久間さんと関係のある人にも多数いたのである。

 

尿痕についても、久間さんの母親が病院で浣腸をされて下着を汚した状態で久間さんの車に乗ったことがあったのだ。その他にも義理の母が車内でおまる(持ち運び可能便器)を使ったことも過去にあった。つまり被害者以外の尿痕である可能性が十分にあったのだ。

 

もっとおかしなことに警察が久間さんの車を押収した当時、座席を調べた際には、シートから血痕は出ていなかった。犯罪捜査で使われるルミノール反応が出ていなかったのである。

 

※ルミノール反応とは

犯罪捜査で血痕の検査に使われる。血痕の色は新鮮な時は赤色だが、時間の経過とともに褐色、黄色へと変化する。よって、犯行現場で血痕らしきものが見つかったとしても、目視ではそれが血痕であるかどうかの判断はつかない。その判断に使われるのがルミノール反応である。血痕にルミノールと水酸化ナトリウムを混ぜたアルカリ溶液と過酸化水素水の混合液を吹きかけると、血痕が青白く光る。)

 

しかし、1年以上経過した後に、福岡県警の科捜研が久間さんの車から切り取ったとされるシートの生地を繊維メーカーに鑑定に出し際に、メーカーの研究者に指摘されて初めて血痕の付着が見つかったとの話がある。過去の冤罪事件(袴田事件の5点の衣類など)のことを思い出すと何か作為的であり、怪しい感じがする。

 

 

 

4、被告は一貫して無実を主張 自白なし

 

この飯塚事件に関しては、以前このサイトでご紹介した、袴田事件、足利事件、名張毒ぶどう酒事件と違い、犯人とされた久間さんは、事件をやったとの自白は一切していない。事件当初から逮捕されたあとも一貫して無実を主張し続けていたのである。

 

他の冤罪事件では、「自白したから犯人だ」と見なされ、無実が証明されるまで時間がかかるなど、犯人とされる要素は確かにあったと思われる。しかしこの飯塚事件の久間さんは、一貫して無実を主張してきた。

 

無実を主張し続けてきた久間さんに対し、以上のように見てきた複数の状況証拠(実際、状況証拠と言えるとも思えないが)だけで死刑判決を出せるのだろうか。

 

ましてや以下に述べるように死刑の執行までしてしまっている・・・