袴田事件・再審の扉カギを握る“血液鑑定” 色の変化が争点に
https://news.yahoo.co.jp/articles/a6a14be757b4b70ce2f1ef60aeed74d51a375067?page=1
テレビ静岡NEWS
争点は「血痕の色の変化」
いわゆる袴田事件は、裁判をやり直すかどうか2023年3月13日に東京高裁の決定が出さる。審理の争点は「着衣についた血痕の色の変化」。弁護団が「カギを握る」としているのが専門家による鑑定だ。
◆争点はただ一つ「血痕の色の変化」
最高裁が東京高裁に指示した審理の争点はただ一つ、犯行着衣である5点の衣類についた「血痕の色の変化」だ。
事件から1年2カ月後にみそタンクから見つかり、袴田元被告は「自分のものではない」と主張してきた。
弁護団は支援者と実験を繰り返し、「長期間みそに漬けた衣類の血痕は黒くなるため、証拠はねつ造されたもの」と主張してきた。
◆弁護側が依頼した専門家「証明できた」
さらに今回の審理で、弁護団は旭川医科大学などに鑑定を依頼した。法医学専門の奥田 勝博 助教たちが行なったのは、血液に液体を加える実験だ。
液体の「塩分濃度」と「酸の強さ」は一般的なみそと同じに設定してある。実験では血液は茶色に変色し2日後には黒くなった。
旭川医科大学・奥田 勝博 助教:
数日、長くても数週間程度で血液は赤みを失って茶色から黒っぽい色に変色するということは証明できました
赤い色素を持つヘモグロビンは弱酸性と塩分濃度10%の環境に置かれると、分解されて黒く変色する仕組みだ。
メカニズムは簡易的な実験でも確認することができる。
血液に生理食塩水を加えても色の変化は見られない。一方で酸を加えた血液は実験開始後すぐに色が変わり始め、実験から4日後の血液はより黒くなっていることがわかる。
血痕で実験をした場合も、血液と同じく赤みが消えたという。
旭川医科大学・奥田 勝博 助教:
化学的な説明というのは果たせたと考えています。決定的な証拠になるんじゃないかと思います
◆3月13日 再審の行方は
死刑判決の決め手とされた5点の衣類。事件発生から1年2カ月後にみそタンクから発見された。
旭川医科大学・奥田 勝博 助教:
衣類の写真では赤みを帯びているように見えますので、1年2カ月経ってこのような状態であることは、ありえないんじゃないかと思います
弁護団の実験に対し検察側は「みそタンクの中はもっと酸素濃度が薄いはず」と指摘してきた。
また、独自に1年2カ月かけて、血の付いた布をみそに漬ける実験を行った。「赤みが残る可能性を証明できた」としている。
検察側の専門家は取材に対し「裁判中なのでお答えできない」などの回答があった。
東京高裁
開かずの門ともいわれる「再審の扉」。血痕の色をめぐる鑑定がそのカギとなっている。