衣類の血痕「変色」争点 袴田事件、13日に再審可否判断
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産経新聞
昭和41年に静岡県の一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(86)の差し戻し審で、東京高裁(大善文男裁判長)は13日、再審を開始するかどうかの決定を出す。
静岡地裁が開始を認め、東京高裁が覆した判断を最高裁が高裁に差し戻すという異例の展開をたどった。争点は犯行着衣とされた5点の衣類に付いた血痕の色の変化に絞られており、判断が注目される。
赤みのある血痕の付いた衣類は、事件から1年2カ月後の42年8月、現場近くのみそ工場のみそタンクから見つかった。袴田さんは41年8月に逮捕されており、確定判決では袴田さんが犯行時に着用し、逮捕前に入れられたと認定した。
弁護側は平成20年からの第2次再審請求で、衣類をみそ漬けにする再現実験を実施。長期間漬けると衣類に付いた血痕が黒ずんで赤みが消えたことから、「衣類は発見直前に入れられたもので、袴田さんではない別人が入れた」として無罪を訴えてきた。
静岡地裁は26年3月、みそ漬け実験に加え、血痕から袴田さんや被害者のDNA型が検出されなかったとする弁護側の鑑定結果を「無罪を言い渡すべき新証拠」と認定し再審開始を決定。袴田さんを釈放した。
一方、東京高裁は30年6月、鑑定結果の信用性を否定、決定を取り消した。最高裁は鑑定に関する高裁の結論は追認した上で、血痕の色については「審理が尽くされていない」として、高裁に審理を差し戻した。
高裁での差し戻し審では、検察側もみそ漬け実験を行い、一部の血痕には赤みが残ったと指摘。タンク内は酸素濃度が低く変色速度が遅くなるとみられることなどから「赤みが残る可能性は十分にある」と主張した。これに対し、弁護側は検察側の実験でも血痕は黒くなったなどと反論している。(村嶋和樹)