布川事件賠償訴訟、2審も国と県に賠償命令
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布川事件賠償訴訟、2審も国と県に賠償命令
8/27(金) 11:53配信
読売新聞オンライン
1967年に茨城県利根町布川(ふかわ)で起きた強盗殺人事件「布川事件」で無期懲役が確定し、2011年に再審無罪となった桜井昌司さん(74)が国と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は、1審に続いて国と県の責任を認め、計約7400万円の賠償を命じた。
「勝訴」などと書かれた紙を掲げる原告弁護団。左から2人目は桜井さん(27日)
桜井さんは知人の杉山卓男さん(2015年に69歳で死去)とともに逮捕され、1996年の仮釈放まで29年間身柄を拘束された。今回の訴訟では、冤罪(えんざい)を招いた茨城県警と検察の捜査・起訴や刑事裁判での立証活動のほか、再審開始決定後も有罪の主張を続けたことなどが適切だったかどうかが争われている。
2019年5月の1審・東京地裁判決は、〈1〉検察が刑事裁判の控訴審で、目撃者の捜査報告書などの証拠開示を拒んだ〈2〉県警の捜査官が取り調べ段階でウソをついたり、公判で取り調べの録音テープの本数を偽証したりした――との点について違法性を認定。その上で「違法行為がなければ、遅くとも控訴審の段階で無罪となっていた可能性が高い」と判断していた。
国側は今回の控訴審で「裁判所が証拠の開示を命じたわけでもなく、検察官に開示義務違反があったとするのは誤りだ」とし、県も「違法な取り調べや偽証はしていない」と主張。原告側は、違法行為の認定範囲を拡大するよう求めていた。
◆布川事件=1967年8月、茨城県利根町布川で大工の男性(当時62歳)の遺体が見つかり、殺害を自白した桜井さんと杉山さんが強盗殺人罪などで起訴された。水戸地裁土浦支部が70年に無期懲役を言い渡し、78年に最高裁で確定したが、仮釈放後の第2次再審請求審で自白の信用性が否定され、2011年に再審無罪が確定。2人には、それぞれ約1億3000万円の刑事補償が支払われた。