「大崎事件」再審開始認めず 最高裁、再審開始決定の取り消しは初
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40年前の殺人「大崎事件」再審開始認めず 最高裁、再審開始決定の取り消しは初
6/26(水) 14:51配信 産経新聞
鹿児島県大崎町で昭和54年、農業、中村邦夫さん=当時(42)=の遺体が見つかった大崎事件の裁判のやり直しを求めた第3次再審請求特別抗告審で、最高裁第1小法廷(小池裕(ひろし)裁判長)は、殺人罪などで服役した義姉、原口アヤ子さん(92)と元夫(故人)について、再審開始(裁判のやり直し)を認めない決定をした。検察側の特別抗告を認め、鹿児島地裁決定と福岡高裁宮崎支部決定を取り消した。
再審開始の判断基準とされる「白鳥決定」(昭和50年)以降、最高裁が再審開始決定を取り消すのは初とみられる。決定は25日付。5裁判官全員一致の結論。
平成29年6月の地裁決定は、有罪認定の決め手となった親族らの「自白」について捜査機関による誘導の可能性を指摘。供述を分析した心理学者の鑑定書に基づき、自白の信用性を否定し、再審開始を認めた。
地裁決定を維持した昨年3月の高裁決定は「(心理学者の)鑑定は手法も内容も不合理」として証拠価値を認めなかった一方で、弁護団が提出した法医学鑑定を「新証拠」と認定。死因は自転車で溝に転落した事故による出血性ショックだった可能性があると指摘し、新旧証拠を総合評価した上で「確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じた」と判断していた。
これに対し、第1小法廷は新証拠について、中村さんの遺体が腐敗していることなどから「決定的な証明力を持っているとまではいえない」と指摘。法医学鑑定によって親族らの自白や目撃供述に疑義が生じたというのは無理があるとし、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠とはいえない」と結論づけた。
確定判決で原口さんは、中村さんの日頃の生活態度に不満を募らせ、首をタオルで絞めて殺害したとされた。当初から全面否認していたが、鹿児島地裁は昭和55年、懲役10年の実刑を言い渡し、56年に最高裁で確定した。物証がほぼない中、確定判決は、知的能力に問題があった親族らの自白と、共謀場面を目撃したとする義妹の証言から有罪と認定していた。
原口さんは服役後の平成7年に再審請求し、鹿児島地裁は14年、再審開始を決定したが、16年に福岡高裁宮崎支部が取り消し、最高裁で確定。2回目の請求も退けられ、27年7月に3回目の請求をした。元夫は懲役8年が確定し、服役後に死亡。長女(64)が再審請求していた。